8時間睡眠のウソ。 日本人の眠り、8つの新常識

さて、最近読んだ本の感想文。
もっとどんどん書くつもりだったのにさっぱり進みゃしませんな。たまるのはネタ帳ばかりなりけり。

さて本書、タイトルが Blog の釣りタイトルみたいでちょっとアレだけども、まあ健康に関するネタについては Blog より書籍の方が釣りタイトルについては大先輩なのでそこはツッコミどころではないのかも。

ただし、内容はとても落ち着いててむしろ地味感すらある。そういう意味では恐怖心を煽られるとかでなく、安心して読めると思う。

ひとことで言えばイマドキの睡眠医療についてざくっとまとめてくれている本。

「8時間睡眠」のどこがウソなのかといえば、なんとなく世間通念として睡眠は1日8時間程度はとるべきだと親や先生に言われた記憶が多くのひとにあるだろうし、そしてそれは確かに正しいような気がしているけれども、実はそれは「そんな気がしている」だけだというハナシ。

人間にとって8時間睡眠が一番良いという根拠は実は不明であって、実際に隔離施設で何人もの被験者からデータをとると当然個人差があるとのこと。で、年齢と体力によっても違う。「年寄りは朝早い」とか「年をとったら眠れなくなった」というハナシは、別に悩むべきことではなく、それが当然なのだとのこと。

ちょっとネタばらしをしてしまうけれども、青壮年の場合は概ね 6.5 時間ぐらいが適している人がいちばん多いらしい。もちろんそこを中心に等差数列で個人差があるということだが。

さらにもう1つよく言われる「体内時計は25時間なので、24 時間周期とずれているので調節が必要」というハナシ。1日の24 時間とずれているので調節が必要というのは確かにその通りらしいのだけれども、「25 時間」の根拠があまりないようで。

これもネタばらしになってしまうけれども、隔離施設での実験によるとだいたい 24 時間 10 分ぐらいが多いそうである。つまり、調整するっても案外微調整で良いひとが多いみたい。もちろんこれも個人差はあるようだけれど。

で、体内時計の調整には最近の健康志向テレビ番組なんかで言われているように、やはり「光を浴びる」のが良いらしい。そしてその「光を浴びる」についてちょっと踏み込んで説明してくれている。

  • 朝~午前中はなるべく光を浴びたほうが良いこと
  • 午後はなるべく光を浴びないほうが良いこと
  • 昼寝はなるべくしないほうが良いこと

なるほど、つまり「目覚まし」って「音」によって起こしてくれるものがほとんどだけれども、もしかしたら時刻によって光量の変化する照明とかあったらいいんじゃないのかなと思った。

さて、上でネタばらししまくっていて大変けしからん記事と相成っているけれども、実はこれ、ナショナルジオグラフィック日本版のサイトに掲載されている『「研究室」に行ってみた』という連載シリーズの企画を書籍化したものであり、現在も元記事は公開されているので、僕がばらしてる程度の内容であればなんら差し障りなかろうと勝手に判断した(ォィ。

【研究室】研究室に行ってみた。国立精神・神経医療研究センター 睡眠学 三島和夫

もちろん、本書のほうが上記で僕が適当にまとめたものより正確だし、ナショナルジオグラフィックのサイトで公開されているものよりさらにツッコんだ内容が、それこそサイトの掲載記事のような読みやすい語り口で書かれているので、これまでの紹介で興味を持たれた方には本書籍をオススメしたい。

さて、これを読了した数日後、ちょっと気になるニュースが出ていた。

「寝る前スマホ」に警鐘 厚生労働省指針

非常に短いニュースだけれども、本書のハナシを踏まえると納得できるハナシではある。つまり、就寝時にスマホ等の比較的強い光を近い距離で目に照射させるのは睡眠のとって悪影響であるということだろうと僕は想像した。

本書でも言われているけれども、今や日本人のほとんどの成人がなにがしか睡眠に対して不満や問題を抱えていると思われるのだそうだ。厚生労働省が「睡眠指針」というものを出しているというのは僕はこのニュースを見るまで知らなかったのだけれども、やはり深刻化しつつある問題なのだということなんだろうか。白書っての読んでみようかしらん。

成人はもちろんだけれども、小中高生のような未成年もやはりスマホや携帯を使うのは同じなわけで、若年層にとってはもっと問題といえそうな気もする。

で、こんなニュースもあった。

小中学生は午後9時以降、スマホの使用禁止 刈谷市、LINEの「既読スルー」対策に本腰

愛知県刈谷市の小中学生は夜9時以降はスマホや携帯を親にあずけ、使わないようにしましょうという運動だそうだ。運動であって罰則や強制力があるわけではないそうだが。

これは睡眠の問題というよりはLINE等の「既読スルー」という問題への対策なのだそうだけれども、しかしこういう大人から子どもに上意下達的に「禁止」という形にするのは反発もあるだろうし、そもそも禁止する側が本来の目的を見失わずに指導するのはとても難しいだろう。往々にして「禁止すること」自体が目的になってしまうことがあるように思うわけで。

場合によっては「8時間睡眠」や「体内時計 25 時間」が正確ではないのに定着してしまい、その微妙な差異が実際的な対処に影響を及ぼしてしまったということと同じことが「子どもは夜スマホ禁止」みたいなわかりやすいルールが根拠不明に流布してしまうようなことがなければいいのだけれどな、と思う。

というわけで、だらだら感想を書いて特に結論のないハナシだけれども、まあ感想を書き散らすコーナーなのでってことで。

2014/3/27追記
「厚労省の指針」てやつ、ほぼ本書に書いてあることと近いことを言っているらしい。
高齢者の睡眠時間6時間程度で NHKニュース

 

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