少し前に結構話題になってた本を図書館でみつけたので読んでみた。
著者はトヨタ自動車で「レクサスLFA」を開発し、F1チームに参加。その後ソフトバンクでPepper開発リーダーとなった後、現在は新たなロボットを開発する新会社を起業したひと、らしい。
既存のものをよりよくするより、新しいことをはじめたい。ゼロからイチを作りたい。そのことを「ゼロイチ」とこの本では言っている。
著者は、ゼロイチには特別能力が必要ではなく、必要なのは「練習」だという。むしろ優秀なひとは主力プロジェクトに組み入れられてしまうので、2番手ぐらいが良いという。また、ゼロイチを実現するにはなにも必ずしも起業しなければいけないわけではないという。
著者自身も決して自分は優秀でなかったと。
曰く、『はじめに』の『必要なのは「才能」ではなく「練習」』というところには、次のように書かれている。
僕は、ゼロイチは誰にでもできる、と考えています。
ふむふむ。
(略)僕はそもそも特段の才能はなにもない、平凡な子どもでした。小学校では九九を覚えられず、クラスでワースト2。中学校の部活でもまったく活躍することができず、かといって成績がずば抜けてよかったわけでもありません。
高校時代はさらに悲惨で、成績はクラスで万年ワースト2。
なるほどなるほど。
大学では、空気力学を学び、グライダーに熱中するなど、充実した生活を送りましたが、
ん?クラスでワースト2のひとが大学に行けるのか。
就職活動で失敗。行きたかった本命の会社の内定をとることができず、消去法的に大学院に進学。
おいらは経済的な問題で中学生のときにはもう大学への進学はありえないハナシだったので大学のことはまったくわからんのだけど、大学院て消去法で行けるようなところなのか。
大学院修了時になんとか、今ほどは人気が高くなかったトヨタ自動車に拾ってもらったという次第。いわば、出来損ないだったわけです。
おいおいおいおいまてまてまてまて。
どうもこのひとは謙遜のしかたがおかしいというか、優秀なひとってこわいわー。
まあ、それはともかく、ゼロイチを実現するには、まず起業して、というのでなく、起業の中で「組織」の力をうまく使わせていただくほうが良い、とか、なにごとか創ったり進めたりするのは「物語」がゼロイチのエンジンになる、など、なかなかおもしろい。
全体的には方法論や具体例というよりは、ざくっとした心構えや考え方のことを書いているので、さらりと読んで、おーおれもできるかもなーという気にさせる本である。
これを読んだだけでなにかが身につくということはないけれども、現代サラリーマンの指針的読み物として、なかなかおもしろかった。後半は普通に根性論も出てくるしね。
コメント